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記事2026/7/8

「ソリシター不要論」について

2026/7/8著者ソリ死タ

保険会社の代理店営業――いわゆる「ソリシター」。

その存在意義が、いま静かに問い直されている。

現場で語られる「不要論」を、元ソリシターの一人として正面から掘り下げてみたい。

ソリ死タ

@soli_withagent

元ソリシター。X(旧Twitter)で勉強会を主宰しながら、 元ソリシターの視点で、いまの保険業界のあれこれを忖度なく発信しています。 現場の本音と、業界の建前。その間にある“語られにくいこと”を、 できるだけ正直に書いております。

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地獄の釜の底の底、保険業界の皆さん。こんにちは。

ソリ死タです。

SNS上の保険クラスタを眺めていると、

「ソリって結局、何をしているのか」

「資料を持ってくるだけではないか」

「どうでもいい研修ばかりで正直ありがたみが薄い」

といった、いわゆるソリシター不要論のような声が、しばしば目に入る。

不本意ながら、その気持ちは分かる。

とりわけ今の大型乗合代理店で活動している募集人から見れば、ソリシターとは、

――くらいのイメージなのだと思う。

そこで今日は、「ソリシターとは結局何なのか」というテーマを、少し掘り下げてみたい。


1.ソリシターとは、結局何だったのか

そもそもソリシター、いわゆる保険会社の代理店営業というのは、大きく二つの役割を持っている。

前者を日々の業務に落とし込むと、商品の研修、販売事例の共有、営業同行、案件相談、 コンプラ対応、そして代理店経営相談(基本的には地場代理店が中心)といったところになる。

ここだけを切り取ると、単なる支援部隊、あるいは便利屋のようにも見える。 だが、本質はそこではない。

かつてのソリシターは、いわば「保険会社そのもの」だった。

代理店からすれば、「この会社を推そう」と思う理由そのものが、ソリだった。

商品が多少弱くても、「あの担当が頑張っているから」「この会社には恩があるから」 「困った時に助けてくれたから」――そうした理由で数字が動いていた世界が、確かにあった。

今の感覚からすると信じられないかもしれないが、昔の保険会社と代理店の関係は、 もっと人間臭かった。

夜遅くまで代理店でロープレをし、支社で叱られ、案件で本社と揉め、 査定と議論を戦わせ、時に代理店の愚痴に耳を傾け、頭を下げて回る。 そうした泥臭さ込みで、ソリは保険会社の「顔」だった。

商品を売っていたというより、「この会社と付き合う理由」を売っていた、と言えるかもしれない。

もう一つ、ソリは「翻訳者」でもあった。

保険業界では、本社・支社・引受・査定・コンプラ・代理店・募集人―― 立場によって見えている景色がまるで違う。しかも、往々にして噛み合わない。

そこにソリが間に入り、「本社はこう考えています」「現場はこう困っています」と橋を架けていた。

つまり、組織間の摩擦を減らすことも、大きな仕事の一つだったのだ。

こう書くと、「飲みや接待の文化を美化しているだけだろう」という指摘もあるだろう。

それは、大いに正しい。実際、今の時代には合わない部分も山ほどあった。

しかしながら、その非公式な場でこそ、代理店の不満、他社への不信、離反の予兆、 本社への不満、現場の本音が、赤裸々に表に出ていた。

言い換えれば、非公式なコミュニケーションそのものが、一種の情報戦だったのである。


2.なぜ「ソリ不要論」が出てきたのか

ところが今、そのソリという存在が、急速に希薄化している。

理由はシンプルだ。昔のようには、踏み込めなくなったからだ。

これらが重なり、業界全体が「余計なことをしない」方向へと舵を切っている。

「夜遅いので手伝います」「少し融通を利かせます」といったことが、どんどん難しくなった。

しかも最近は、特に損保会社を中心に、 「便宜供与に当たるのでできません」「比較推奨を歪めるので」という言葉を、 半ば“印籠”のように使い、代理店支援そのものを断るケースも増えてきた。

もちろん、法規制の強化そのものは必要だ。

だが現場からすれば、 「では、あなたたちは何のためにいるのか」という感覚にもなる。

踏み込んだ支援もしない。融通も利かない。責任も取らない。 それでいてコンプラだけは言ってくる――そうであれば、不要論も出るというものだ。

加えて、乗合代理店側も、独自の教育やシステムを持つようになってきた。 つまり、昔ほど保険会社に依存しなくなった。

「商品説明なら動画で見られる」「事務はコールセンターでいい」という話になっていく。

結果として、ソリは「コンプラ注意をしてくるだけの存在」といった、 かなり厳しい見られ方をする場面も出てきた。悲しい話ではある。

ソリ死タ @soli_withagent ・4月28日募集人はメーカーは印籠かざした二枚舌だとキレる。メーカーは自走をサボってきたやつらが淘汰されたと切り捨てる。 色々思うところがあるよな。どっちの味方するわけでもないけどさ。


3.でも、本当に不要なのか

だが、ここで一つ思う。ソリは、本当に不要になったのか。

価値が消えたのではなく、価値が見えなくなっただけなのではないか。

「最後は感情」「人間関係だ」という話をすると、 「では比較推奨や顧客本位はどうなるのか」という議論になりがちだ。 しかし現場は、そこまで単純ではない。

人にもよるだろうが、代理店は、単に商品スペックだけを見て会社を選んでいるわけではない。

どの保険会社にも、商品力・引受力・事務力・支払い対応・社員対応・現場判断といった、 それぞれの強みと弱みがある。現場が見ているのは、スペックの比較だけではない。

その会社に、お客様を預けられるかどうか。

もっと言えば、 「この会社を提案した後、自分はお客様に責任を持てるか」。

シビアな人ほど、ここを見ている。

どれだけ商品が良くても、支払いで揉める、引受が極端に弱い、現場対応が遅い、 担当が動かない――そうしたことがあれば、現場はその会社を推しづらくなる。

逆に、「困った時にちゃんと動いてくれる」「事故の時にちゃんと助けてくれる」。 その積み重ねが、「この会社ならお客様を任せられる」という信頼になる。

つまりソリとは、本質的には、保険会社と代理店の関係性そのものであったはずだ。 言ってしまえば、保険会社の総合力を現場へ伝えるインフラだったのである。

商品比較だけならAIの方が強い。しかし、「その会社にお客様を預けても大丈夫か」という感覚は、 最後まで現場の人間が見ている部分なのだと思う。


4.ただし、昔のままでは生き残れない

とはいえ、「だから昔のように飲みニケーションを復活させよう」という話ではない。それはそれで、時代錯誤だ。

昔のソリ文化には、属人的、ブラック、根性論、接待依存といった側面もかなりあった。

だからこそ、これから必要なのは、人間関係だけのソリではなく、 価値を言語化できるソリなのだと思う。

たとえば、

――こうした、高度専門職としての価値である。

「とりあえず飲んで仲良くなればOK」では、もう生き残れない。 これからのソリは、人間臭さと専門性、その両方を求められる。 かなりしんどい仕事になると思う。

― 閑話私見 ―

とはいえ、である。ここまで書いておいて何だが、 「そもそも、それは本当にソリシターがやる仕事なのか」という構造的な疑問も、私にはかなりある。

代理店営業という一つの職種に、営業支援・経営支援・コンプラ・データ分析・AI提案・教育を すべて求め始めると、結局、そのどれもが中途半端になる危険もある。

特に今の保険会社は、本社機能・支社・代理店営業・事務・マーケ・教育といった役割分担そのものが、 曖昧なまま時代だけが変わってきた面がある。

だから、「ソリはもっと高度化しろ」という話も、正論ではある。

だが、そのための権限・時間・人員・評価制度を、会社側は本当に用意しているのか、といえば怪しい。 ここは、ソリ個人の努力論だけではどうにもならない、構造の問題だと思っている。

ソリ死タ @soli_withagent ・2024年5月12日おいプロ代のジジイ!!「おい、お前損保も分かるか!?急いでんだよ!」じゃねーよ!! 分かるかどうかじゃなく、俺がそんな質問に答えたら揉め事になるの分かんねーのか。 ホント組織仕事を理解しねーな。しかも日曜だしよ今日。ふざけんなコノヤロー!!


5.最後に

だから私は、ソリが不要なのではなく、 「価値を感じさせられないソリ」が不要になっているのだと思う。

効率化、AI化、規制強化、本社集中――時代の流れとしては、すべて正しい。

しかしながら、これは持論だが、金融は、人間関係を切り捨て始めると、 最後にどこかで必ず壊れる。

保険もまた、契約そのものはもちろん、 「誰から入るか」の方が重要になる瞬間が、確実に存在する。

だからソリという仕事は、これから、ただの代理店営業ではなく、 業界のルールと大きな波の中で、いかに保険会社と代理店の信頼を繋ぐ存在として生き残れるか―― その戦いになるのだと思う。

最後に、一つだけ。 最近のソリ不要論を見ていると、「無能だ」「いらない」「AIで代替できる」といった言葉が、 かなり雑に飛び交っている。

そう言いたくなる気持ちも分かる。

しかし、金融、とりわけ保険営業は、人間関係から完全には逃げられない仕事だ。 商品スペックだけで語れるほど、現場は単純ではない。 浅いスペック論だけで「この会社が最強」「このソリは不要」とやっていると、 結局どこかで視野が狭くなる。

これは感覚的な話だが、脂の乗った営業ほど、全体を見るようになる。 会社の構造、現場の空気、担当者の力量、支払い、引受、経営、文化―― そのすべてを含めて、お客様に責任を持つ。

だからソリ不要論とは、単なる職種批判で終わる話ではなく、 「自分たちは、どこまで全体を見て仕事ができているか」という、 ある種の問いでもあるのだと思っている。

しがない、いち元ソリの一分として、頭の隅にでも置いてもらえれば幸いだ。

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